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魅惑の温泉ドライブ古湯から日帰り湯まで、日本全国温泉行脚の旅
和とモダンの融合で熱海はプレミアムリゾートに変わる

収容数の大きな観光ホテルが林立する印象が強かった熱海だが、新しい動きが注目されている。首都圏に近い温泉地としての地の利を生かしながら、日本と西洋の意匠を融合させた「和モダン」への回帰が見られるのだ。再び魅力ある温泉地へと変わりつつある熱海は、プレミアムリゾートとしての新たな価値を見出したかのようだ。

和とモダンが融合した現代建築
熱海銀座商店街にある「ギャラリーKICHI+」。古民家をリノベーションしたギャラリーで、近くの路地を入ると和風カフェもある。自家製ケーキやスコーンと、一杯ずつハンドドリップしたコーヒー、チャイが味わえる。
http://www.cafe-kichi.com/
起雲閣
http://www.city.atami.shizuoka.jp/
旧日向別邸(ブルーノ・タウト「熱海の家」)
http://www.city.atami.shizuoka.jp/
初春の、とある平日の午前10時。
熱海駅の改札を出ると、そこは梅園を目当てに観光にやってきた熟年世代と、卒業旅行の学生たちでいっぱいだった。タクシー乗り場は長蛇の列。「ここは本当に熱海なのか?」。しばし我が目を疑った。

たしかに熱海は、首都圏からも1時間強のアクセスと、交通の便がいいが、バブルが色濃く残る土地という印象が強く、大旅館が競売にかけられ廃墟化しているという風聞もあった。観光ツアー客目当ての大旅館が林立し、一時は栄華を極めたが、その反動から現在は大ホテルが廃業し、ずいぶん清算されたとも聞いていた。

閑古鳥でも鳴いているのでは、というネガティブな憶測は、駅前の人込みを見た瞬間に吹き飛ばされ、もう一方の、「熱海がおもしろくなっているらしい」という期待は、確信へと変わった。

徳川家康によってその価値を見出され、明治期以降には財閥の別荘地として利用されてきた熱海には、和とモダンが融合した、現代に通じる建築物件が点在している。

岩崎別荘、住友別荘とならび、熱海の3大別荘と呼ばれた「起雲閣」はこうした名建築のひとつ。大正時代、海運王・内田信也が別邸として建立。その後、旅館に転用されたが、多くの文豪に愛された。チューダー様式の応接間には、和風のみならず中国風の意匠も取り込まれている。

また、アジア貿易で活躍した日向利兵衛が昭和11年に建てた「旧日向別邸」は、庭園下部の地下室と離れがドイツ人建築家ブルーノ・タウトによるものとして、現代建築では有名な存在だ。

木造二階建ての上屋は、東京・銀座の和光や上野の国立博物館を手がけた渡辺仁の設計。和とモダンの折衷に自然との調和を感じ、現在でも新しさを感じる。
真のプレミアムリゾートをめざす熱海

ホテル ミクラス
http://www.micuras.jp
源泉かけ流しに浸ったあとは、プロジェクターで映画三昧の休日もいい
実際のところ、宿泊施設に関する「新しい動き」はいたるところにある。
熱海の海岸沿いは、建設ラッシュになっている。といっても、従来のいわゆる「ハコもの」とは一味異なる。
真のプレミアムリゾートは何か、という視点で熱海が見直され、その価値が再評価されているようなのだ。

観光ホテルはリノベーションされて付加価値を添えられ、山の中腹にあった企業の保養所は離れの高級宿として再び表舞台に立とうとしている。

リノベーションの代表は「ホテルミクラス」だろう。
変わりつつある熱海を象徴するデザイナーズホテルで、全面に海の広がるオーシャンビュールームと源泉かけ流しのプライベートバスがあるヒーリングステイルームを設けている。
フランスのゴッドハンドセラピスト、ダニエル・マードンの技術協力によるボディトリートメントスパも魅力だ。

もうひとつの方向性が、ホテルのような快適さが得られ、おひとりさまでも宿泊できるラグジュアリーな和風宿。

WA亭 風こみち
http://www.kazekomichi.jp/
ゲストルーム7部屋のうち6部屋からは竹林や海を望む露天風呂がある
「WA亭 風こみち」は、小高い丘の上の別荘地にひっそりとたたずむ静かなホテル。

お香が漂うエントランスを抜けるとロビーから目の前いっぱいに熱海湾が広がる。プライベートが確保されたホテルの快適さと、部屋でゆったり食事ができる旅館のサービスがほどよくミックスしている。

こうした宿だけでなく、1泊5万円以上する別荘のような高級旅館も登場するなど、話題は尽きない。温泉という価値にプレミアムなデザインを加味していく手法は、熱海をプレミアムリゾートへ変貌させていく起爆剤になる可能性を秘めている。
魅惑の温泉ドライブのヒント
東名高速道路・厚木ICから小田原・厚木道路→真鶴道路→国道135号線が首都圏からの順当なルート。
名古屋方面からは東名高速道路・沼津IC→国道1号→国道136号→県道11号(熱函道路)となる。
いずれの方面からも最寄りICから1時間程度。熱海市街のとくに山側は細い道が入り組んでいるので事前によくルートを調べておく必要がある。
大型車やワンボックスだと切り返しがちょっとつらいかも。
< PROFILE >
長津佳祐
観光やレジャー、スローライフを中心に編集・執筆を手がける。ブログ「軽井沢別宅日記」をどうぞよろしく。ただいま建築家とローコスト&ハイパフォーマンスな物件を作ってます! http://blog.bectac.com/
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