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  3. 野鳥に出合ったら特長を覚えて!

もっとも身近にいる野生の使者が“鳥”たちです。ほんの少し前、都会でもカラス以外の野鳥が数多く見られました。しかし、現在では都市部での野鳥観察は難しくなりました。車で郊外の森や水辺に出かけてみましょう。

森の中には野鳥がたくさん。特徴を観察しましょう

私の通った学校は東京の郊外にありました。

敷地内にはたくさんの樹木が育ち、まるで公園のようでしたから、時には学校と思わずに散歩に来る人を見かけたほどした。

実をつける樹木が多かったので、そこは野鳥の宝庫でした。春になると巣箱でさまざまな鳥が卵を産み、それが育って大空へ飛び立っていきました。

まれには卵を狙ってアオダイショウ(ヘビ)が忍び寄るという光景も目にしました。

そんな環境ですから「バードセンサス」という授業が中学の時にありました。

センサスとは「調査」といった意味合いをもつ言葉です。つまり、学校や周辺の野鳥の調査をするのが「バードセンサス」。

よく見れば河原にも野鳥が。見つかりましたか?

大みそかの「NHK紅白歌合戦」の審査の時に、双眼鏡を手にした「日本鳥類保護連盟」の会員たちが活躍したのを覚えている方も多いと思います。まさに、あんなかっこうで学校内や周辺の雑木林、畑で野鳥調査をしました。

『ファーブル昆虫記』のファーブルに憧れ、自然の尊さを想い、野鳥を愛し、『ことりはともだち(婦人之友社刊)』などの著書をもつ理科の教師がバードセンサスの担当でした。

彼はいつも熱く、鳥が飛ぶ様子を身振り手振りで解説してくれました。最初はその姿に思わず吹き出してしまいましたが、野鳥を実際に観察してみると、飛ぶ姿にもさまざまな特徴があるのがわかり、教師が解説してくれたことを実感したのでした。

何を食べているのかでも鳥の種類がわかります

現在は図鑑の種類も豊富です。また、インターネットなどでさまざまな事柄が調べられます。それはとても便利なこと。反面、知識は豊富になっても“実際に見る”という部分がおろそかになりがち。

バードセンサス担当教師は「野鳥をよく観察してみましょう。さまざまな特徴があるのでメモしましょう。

その鳥が何の種類かを知るのは、家に帰ってからで十分。自分の目で特徴をつかみ、それから図鑑で名前を調べれば、その鳥のことをずっと忘れないでしょう」と言いました。この言葉はひとつの真理だと思います。

私たちは野外に図鑑を持ち出してしまいます。そして、見かけた野鳥を図鑑で照合し、名前がわかるとそれで満足してしまいます。さらに図鑑で特徴を知ると、それで十分に理解した気分になってしまいます。

同じカラスでもクチバシの太さで種類が異なります

結局、文字で読んだことだけを理解し、野鳥がどんな行動をしたかなどに注目しないままになってしまうのです。

そこで提案です。『野鳥図鑑』は家に置いたままにしませんか。双眼鏡やデジカメ、メモ用紙と筆記用具だけを持って、野鳥が集まりやすい森や水辺、海辺の公園へ出かけるのです。

そして、観察した鳥の特徴をしっかりとメモし、家に帰ってからみんなで「あれは何の鳥だったのか」を調べるのです。特徴を実際に目で見ているわけですから、家に帰ってからのその作業はとても楽しいものになります。

水辺は野鳥がいっぱい。種類も豊富です

漠然と「特徴をメモして」と書いても戸惑うかもしれません。そこで、バードセンサスの担当教師に聞いた特徴の見分け方を記しておきましょう。

1「大きさ」。見慣れたハトを基準に考えるといいでしょう。ハトより大きいか、少しだけ小さいか、すごく小さいかが基準になります。

2「色」。全体の色、顔の色、模様をよく観察して。

3「歩き方」。鳥には足を交互に前に出して歩けるタイプとそうでないタイプがいます。たとえばスズメ。スズメは両足ジャンプを繰り返して前進しており、歩いてはいません。こんなことも鳥を見分けるコツになります。また、地面に降りてこないタイプか、地面に降りてくるタイプかも判断材料になります。

4「首の長さ」。鳥の場合、首の長さに大きな特徴があります。たとえばワシ、タカなどの肉食の猛禽類は首が短い。一方、カモやハクチョウなどは首が長い。私たちの教師は発泡スチロールで鳥の模型を作りました。カモ型の模型を飛ばした時、他の野鳥に変化はなかったそうです。しかし、タカ型の模型を飛ばした時に、他の野鳥は動揺したそうです。首の長さによるシルエットで無害か敵かを判断したのでしょう。

5「クチバシの色」。鳥の種類を見る時にクチバシの色、形、太さは大きなポイントになります。カラスにもクチバシの太いタイプ(都会にいるのはこれがほとんどです)と、細いタイプがいるのをご存じですか。

6「尾が長いか」。オナガとつく鳥が案外多いのです。

7「まっすぐ飛ぶか」。野鳥の中には短く羽ばたいて上昇し、その後は羽根を休めてやや下降し、再び羽ばたいて上昇し、その後にやや下降する波型の飛行をするタイプの鳥と、始終羽ばたいているタイプがいます。また、トビのようにグライダー飛行をするタイプも。飛び方でも種類がわかるのです。
野鳥をじっくり観察すれば、さまざまな特徴が発見できるでしょう。

「おまけの撮影術」
望遠レンズや望遠機能がないと野鳥の撮影は難しいでしょう。また、シャッター速度は速めに。野鳥は動きが素早いために、スローシャッターでは被写体がブレてしまいます。シャッター速度の調整がきかないタイプなら、ISO感度を高く設定して自動的にシャッター速度を速くするように。


【野鳥公園】
自然が残る、あるいは自然の姿を取り戻した海辺、川辺には「野鳥公園」が整備されています。また、尾瀬や南アルプスの野鳥観察ポイントのホームページもあります。まずは「野鳥観察」「野鳥公園」で検索してみてください。
< PROFILE >
石井 喜代美
ご主人がアウトドア・旅行雑誌の編集者をしており、その関係で国内外の旅に同行。ブランドショップより地元の市場、高級レストランより庶民の味、そして動物園と水族館には必ず行く主義だとか。キャンプや温泉にも詳しい。
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