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雄大な自然を敬い、そこに神社などを建てて信仰する……。エコが叫ばれる最近ですが、昔から日本人は自然を“聖地”として大切にする風習をもっていました。富士山信仰もそのひとつでしょう。身近な富士山信仰として発展した“富士塚”を訪ねます。
三つの登山口がある砂町の富士塚
日本人であれば、生まれてからどれだけ富士山を見ることでしょうか。

富士山を直に見られない地域の人であっても、お正月のテレビ番組やカレンダー、そのほかたくさんの映像や写真で富士山を見ることでしょう。

日本一の標高を誇る富士山は日本を代表する山であり、そのみごとな景観は浮世絵の時代から世界に広く知られています。

旅行雑誌ライターとして全国を飛び回っているわたしは、富士山にずいぶん勇気をもらっています。

新幹線から見る雄大でスケールの大きな富士山。

曇り空の日、飛行機が上昇して雲を超えたときに見える雲海の富士山。それはともにパワーを与えてくれる存在です。

中央区湊(八丁堀駅そば)にある鐡砲洲稲荷神社
しかし、火山活動を起こす富士山は景観の美しさとは裏腹に、住民にとっては脅威でもあったようです。

そのために、「富士山の活動を鎮めよう」と、浅間大神(あさまのおおかみ)が祀られるようになりました。

山麓から崇めていた富士山でしたが、平安時代末期の山岳仏教の影響を受けて“登山”も修業のひとつになっていきます。

山頂に“仏様が住む”という仏教の思想と浅間信仰が合致して、富士山は信仰の山になりました。
鐡砲洲稲荷神社の右奥に富士塚がありました。富士山の溶岩で造られているために、ゴツゴツした感じがあります
仏様のいる山、富士山に修業で登りたい。

江戸時代中期、庶民のあいだで「富士山信仰」は確かなものになりました。

しかし、富士山は江戸から遠く、高く、なかなか行けるものではありません。

そこで生まれたのが“富士塚”、いうなればミニ富士山です。

「江戸八百八講」と称された“富士講”は、信仰の対象であった富士山の“うつし”を住居の近くに築きました。

そして、富士塚に登ることによって、富士山に登るのと同じ徳が得られるとしました。

まさに、江戸時代の最高のパワースポットが“富士塚”といえるのです。

菅原道真の死を悲しんだ家臣が道真の像を大宰府から持ち帰って祀ったのが始まりという成子天神社。多くの受験生が訪れます
調べてみると、東京都や埼玉県、神奈川県などにはたくさんの富士塚および富士塚跡があります。

それぞれに特徴をもっていますが、実際の富士山と同様に「吉田口」「須走口」などの登山口を設け、中腹に小さい高まりを作って宝永山を再現させているものもあります。

境内の一画に設けられた富士塚で、どれだけ多くの人が江戸時代にパワーを授かったことでしょう。

江戸の人々が着物で登った姿を想像するだけで、なんとなく楽しい気分になります。
高さ12メートル、周囲を山つつじに囲まれた成子天神社の富士塚
江東区の南砂にある富賀岡八幡宮の境内のいちばん奥に「砂町の富士塚」がありました。

吉田口、大宮口、須走口や宝永山、「胎内」と呼ばれる横穴もあります。

残念ながら落石のために登頂は禁止となっていましたが、その姿に見入ってしまいました。

中央区の湊にある鐡砲洲稲荷神社にも富士塚があります。

関東大震災により被害を受けた神社ですが、昭和10年に復興され、正面中央奥に社殿、左手に神楽殿などがありますが、正面から見えない右奥に富士山の溶岩で築かれた富士塚がありました。

ただし、ここも登山は危険のために禁止となっていました。

高層ビルが立ち並ぶ西新宿に成子天神社があります。

ここには溶岩で築かれ、周囲に山つつじが植えられた高さ12メートルの富士塚があります。

富士塚のまわりには七福神像がありました
さらに、富士塚の周囲には昭和58年に新造された七福神像、山頂には木花咲耶姫命の像。像を拝みながらの登頂となります。

本来なら七福神めぐりのときのみ登頂可能でしたが、現在はほぼ通年で開山しているとのことで、わたしが訪れたときも小さなお子さんや高齢の方を除いて登頂が可能でした。

高さ12メートルといって侮ってはいけません。細い登山道、案外急な山頂付近。山頂に立つと達成感があります。

大都会の一画で周囲は遥かに高いビルばかりなのに、そこは山つつじにと樹木に囲まれ、空気も澄んでいるように感じます。

まさに、パワースポット。富士山の恩恵を受けた気分になりました。

富士塚は江戸時代から伝わるスピリチュアルスポット。心が満たされる場所です。訪れてみてはいかがですか?
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< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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