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インターネットで調べると「滝行体験」ができるところは思いのほか全国に多い。なかには体験コメントや滝行動画が掲載されているページもあってなかなか興味深い。体験ができるなら、滝行にでかけなければなるまい! そこでまずは下調べ。

高尾山駅周辺には民間駐車場もある。京王線の手前駅付近のコインパーキングを利用するのも手だ


高尾山駅から高尾山山頂へ続くルートのうち、渓流沿いを登るのが6号路


6号路を歩いていて、徐々に道幅が狭くなった山道の途中に琵琶瀧の水行道場がある
1か月のあいだに数回は地方に取材に行くが、普段は日中に打ち合わせや執筆活動、夜は誘われるがままに銀座や門前仲町あるいは木場で大声を発しながらお酒におぼれるぼくだから、「身を清める、心を洗う」という言葉にひどく反応しがちである。

取材で神社を訪れるときは、二礼二拍してから住所と名前を告げ、 開運や健康を祈る。

もちろん、神頼みなのは百も承知だ。祈願する前にもう少し規則正しい生活とアルコールを控えたほうがいいなんて、十分に理解している。
それでもお参りをすると、なんとなく心身ともに浄化された感じがするのが心地よい。

ところで、今年は僕の当たり年のようである。

初詣でをした中野区の神社で引いたのが「大吉」だった。そして、仲間と行った門前仲町の成田不動尊で引いたのが「吉」。ちなみに、このときに同行した神奈川県に住む友は「凶」を引いた。よほど悔しかったのだろう。立ち飲み居酒屋で1杯ひっかけて(清めて?)から再度引いたおみくじの結果は「末吉」だった。

ひとつランクアップしたのか、もう終わりなのか、その真意はよくわからないけれど…。

先日取材で行った世界遺産の熊野本宮ではまたまた「大吉」を引いた。「願望=のぞみのままです。人の言葉に迷うな」。

それでも友人は僕に言う。

「不摂生だし、心も随分汚れてるんだから、おみくじでごまかさないで、滝に打たれて精神を鍛え直せ」、と。

彼が言うには滝行はもっともよい心身の修行方法なのだ。

奥に見える滝が琵琶瀧。水行を行うためには事前に申し込まないといけない


高尾山薬王院は歴史のあるところだけに、境内を見学するのもおもしろい。ハイカーの姿も多い
滝行は文字通り、滝に入って行う修行である。

古くは山伏などの修験者が本格的な修行の前に、心身を清める“前行”として密かに行ったとのことだが、近年は老若男女を問わずにプチ・ブームであるらしい。

なかには「宗派とはいっさい関係ない」を明記し、心身鍛錬の修行としてだけでなく、「滝行はダイエットにもいい」を謳い文句にしている滝行もある。

白装束での心身鍛錬だけが滝行ではなく、いろいろな目的で滝行が行われているようだ。

「宿坊研究会」というホームページでは宿坊などのガイドのほかに、「禅体験」「滝修行体験」という項目があり、全国の20を超える滝行ができる神社や寺が掲載されている。

動画などもアップされており、滝行がどんなものかがわかりやすい。

このサイトを見る限り、どうやら北海道や東北には体験できるところはほとんどないようだ。修行僧は行うかもしれないが、一般の体験を受付けていないということだろう。

水温が低いので、普段鍛えていない人には危険という配慮が予測できる。

このサイトを眺めていておもしろいのが滝の大小だ。打たれたら痛いだろう!クラスの大きな滝があれば、これなら大丈夫クラスの小さい滝もある。

体験なら小さい滝のほうが適しているかな、と思ってしまうぼくだからこそ、修行が必要なのかも。

高尾山の伝説といえばなんといっても“天狗”。境内にも天狗像が立つ


山頂の山小屋にある魅力的なもの。それは生ビール。運転をしない人で乾杯。これでは滝行も台無し?
身近に滝行体験ができるのが、『ミシュランガイド』にも☆付で掲載されている高尾山である。

高尾山はいまや気軽にできるハイキングコースとして広く知られ、毎日大勢のハイカーがやってくる。

高尾山山頂までは7本のルートが整備され、それぞれに趣が異なる。1号路は別名表参道と呼ばれ、天平16年(744年)に聖武天皇の勅命によって東国鎮守の祈願寺として開山された「高尾山薬王院」を通るルートだ。

一方、渓流沿いを歩くのが6号路。その中腹に「琵琶瀧」がある。これが、高尾山薬王院が水行道場(滝修行とはいわない)に利用している滝のひとつで、もうひとつ蛇滝がある。

この滝が一般の信徒にも開放されているのだ。

毎月第1土曜日、17日(御縁日)、27日の午後12時指導開始と限定されているが、「入瀧料」は1000円、「入瀧指導料」は入瀧料を含む3000円となっている。
初心者や体験者は安全のためにも指導を受けるべきで、その流れは予約→受付→法楽→道場清掃→入瀧となる。

滝を見る限り、蛇瀧(青龍大権現)は比較的細い滝、琵琶瀧(大聖不動明王)はそれなりの迫力がある滝だ。

滝行を体験して、高尾山薬王院でお参りをして心身を清め、ことのついでに高尾山山頂へ。山頂から東京の都心部を眺めて達観した気持ちになる――すばらしい体験になるだろう。

これで、山頂の山小屋で提供される「生ビール」の誘惑に負けなければ…だけど。

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< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載
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