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東京の河川敷で大木の下で雨宿りをしていた人が、雷に打たれて死亡するという事故が起きた。昔は梅雨明け時や真夏に雷は鳴っていたが、最近では時期を問わずに雷が轟くようになった。そこで、雷対策を覚えておこう!


もくもくと現れる積乱雲。約10㎞の大きさだ


時速10~20㎞で進むので、案外早く積乱雲は真上に来る

雷の事故が起きた。2013年7月9日、東京都北区の荒川河川敷の中州で釣りをしていた人が、突然の雨から逃れるために、大木の下にいたところ、落雷によって死亡した。
このニュースは東京での出来事だっただけに、あっという間にニュースで流れ、ワイドショーでも数多く取り上げられた。

記憶をたどれば、2003年には国会議事堂も落雷の被害に遭っている。このときは東京を中心にした260㎞四方内地域で、午後2時から午後8時までの約6時間に、合計1万2000回近くの落雷が記録されている。

しかし、多くの場合はビルの上に設置された避雷針に落ちており、そのぶん被害は少なくすんだ。



当然、雷が落ちるのは都会だけではない。
1967年には北アルプスの西穂高岳に集団登山をしていた高校生グループが落雷に遭った。ガレ場を一列で下っていたときの出来事だけに被害は大きく、8名が即死、13名が重軽傷を負っている。

そのほかにも落雷事故を追っていくと、「登山中」「ハイキング」「キャンプ」「ゴルフ」「釣り」「農作業」という項目が多いのが目につく。

当然、上記は避雷針があるビル内とは異なり、屋外にいたために事故に遭ったケースであり、事故数が多いのもうなずける。



つまり、避雷針が多いから都会への落雷は多いものの、郊外やキャンプ場、山岳地帯にも確実に落雷し、ときによっては被害者を出しているのである。


飛行機から積乱雲を見下ろすと、ときどき光を発することがある。雷の元(!)だ


夕立時に落雷するケースも多い。落雷後は美しい夕陽が…

雷を発生させるのはどんな雲だろう。

積乱雲のもとで雷は発生するのが基礎知識だ。積乱雲は気象条件によって発生した強い上昇気流によってむくむくと成長する雲で、その様から“入道雲”などとも呼ばれている。

夏の典型的な雲ではあるが、昨今では地球温暖化に伴って、春過ぎや秋の季節外れの積乱雲も多くなった。

積乱雲の大きさは約10㎞、時速は10~20㎞だ。つまり、遠くに大きな黒がかった積乱雲が見えたとしても、数10分後には真上に到着する可能性があるのだ。



次に「雷鳴」について。

ゴロゴロ!っていう雷の音だが、雷鳴が聞こえる範囲は約10㎞。しかし、落雷の電流が水平に伸びる距離も約10㎞。

つまり、遠い場所で音がしているといって安心していられない。音が聞こえれば雷の電流が伸びてくる可能性もあるのだ。

ちなみに、雷が近づいてくるのを知る方法がある。これはAMラジオ利用法。

FMラジオではダメだが、AMラジオは雷が近づくと“ノイズ”が入る。約50㎞先の雷のノイズをAMラジオは拾うので、遥か彼方に積乱雲が見えた場合は、AMラジオを楽しみながらノイズをチェックすればいい。そして、ノイズが入ったら安全な場所に避難しよう。

時間的には1時間以上の猶予があるので、キャンプ中でも、フィッシング中でも余裕をもって行動できるだろう。


雷は水平に10㎞の幅をもつ。遠いからと安心しないで

都会であればもちろんビル内に避難するのが安全だ。またゴルフ場のように避雷針が付いた避難小屋があれば、そこにいれば危険を避けられる。しかし、キャンプ場やハイキング中、フィッシング中だったらどうだろう。



まず安全な場所はキャンプ場なら管理棟などの「壁」がある建物だ。雷の電流は“表面を伝う”という習性がある。
壁があれば、たとえ雷が落ちても、壁の外を伝って放電されるから内側は安全だ。注意点としては、壁や天井、アンテナケーブルなどから1m離れていること。



次に安全なのはクルマの中だ。同じように電流の習性から、雷が落ちてもボディを通って地面に流れていくので車内は比較的安全だ。



それでは、管理棟などの建物やクルマもなかったらどうしたらいいのだろう。
まずは釣竿やステッキ、虫とり網などの長いものを身から離そう。 次に周囲を見渡して、4~5m以上の高さがある木を見つけることだ。4m以下の木だと、その木に落雷したときに、かえって危険になるので、高い木を見つけるのが重要。

「荒川の中州の人は大きい木の下で事故に遭ったではないか」という声が聞こえてきそうだ。
確かに、大きな木を見つけても、その木の真下にいるのは危険だ。 むしろ、もっとも危険といえる。

安全なのは、木のてっぺんから45度のラインを空中に引き(イメージし)、そのライン上の地面に低い姿勢でいることだ。
つまり、幹から3m以上離れた幹を中心にしたドーナツ状のエリアがもっとも危険を回避できる位置なのだ。
木の葉で雨宿りはできないが、木に落雷したとしても無事ですむ確率は高い。

ワイドショーで放送された荒川河川敷の落雷事故を思い出してほしい。
木の真下にいた人は亡くなり、その周囲にいた人は軽傷だけですんだ。幹からのわずかな距離の違いが命運を分けた例である。
雷の習性を知って、身を守る知識を忘れないでほしい。


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< PROFILE >
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めて数年の編集者。超がつくほどのアウトドア初心者だったが、猛勉強をしてそれなりに成長。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。
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