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この連載を振り返ると「恋愛」にご利益がある神社を数多く紹介しています。しかし、“出世”や仕事運が授かる神社もあるのです。東京の都心にある愛宕神社と、天空のパワーが集結する場所として人気の東京タワーを訪ねました。

男坂を下から眺めて。かなりの急坂です


火の神である火産霊命を祀る社殿


愛宕山の山頂には鯉のいる池があります


標高25.7m。ちっとも高くありません(笑)。

東京には当たり前のように高層ビルが建っています。その高さは東京都庁第一本庁舎で242.9m、東京第1位のミッドタウン・タワーで248.1m。標高25.7mなんて54階建てのミッドタウン・タワーの3階あたりでしょうか。

しかし、東京都港区にある標高25.7mの愛宕山が東京23区内の最高峰なのをご存知でしたか?

「江戸城のお堀を造ったときに出た土を積んだだけではないの?」という疑問の声が聞こえそうな高さです。しかし、地質調査で自然の山であるのが立証されており、その証しとして山頂には“三角点”があります。

山頂からは東京湾や房総半島まで見えたといいますから、江戸時代に「見晴しの名所」として見物客で賑わったのもうなずけます。

愛宕山に神社ができたのは1603年のことでした。徳川家康の命によって“防火の神様”として祀られたのが事始めです。それ以来、徳川家康にちなんで“天下取りの神”“勝利の神”としても名を広めていきました。

主祭神は火産霊命(ほむすびのみこと・火の神)で配祀として罔象女命(みずはのめのみこと・水の神)、大山祇命(おおやまづみのみこと・山の神)、日本武尊(やまとたけるのみこと・武徳の神)を祀っています。

また、境内には太郎坊神社、福寿稲荷神社、弁財天舎、恵比寿大黒社があります。

残念なことに江戸大火災で当時の社殿は全焼、その後も関東大震災、帝都大空襲などでほとんどを焼失していますが、その都度再建されて現在に至っています。

周囲を虎ノ門や神谷町のビル群に囲まれる愛宕神社ですが、都内では貴重な自然を楽しめる場所としても知られています。

春は桜。夏は深く染まった緑と蝉しぐれ。秋は紅葉…。愛宕に残る自然の山は都会のオアシスでもあるのです。

小さいながらも自然環境が保たれ、由緒ある神社ですから雅楽が奏でられるなかでの三三九度の結婚式も好評。10月4日には俳優・東出昌大と女優・杏の挙式が行われています。

紅葉にはまだ早い時期ですが、きっとふたりは愛宕山の緑に包まれて、おだやかな婚姻の儀を行ったのでしょう。

上から見た男坂。ここを馬で降りるなんて!


境内にある弁財天舎


愛宕山の近くに東京タワーがあります


愛宕神社のご利益を調べてみると、以下の項目が出てきます。

火に関するもの、防火、防水。印刷、コンピュータ関係。恋愛、結婚、縁結び。そして、商売繁盛と出世!

愛宕山には「男坂」「女坂」「新坂」などの坂道がありますが、なかでも神社正面に位置する男坂は86段の急な石段です。

この石段こそ別名「出世の石段」。スーツ姿のビジネスマンが競って参拝する石段なのです。

物語は三代将軍徳川家光の時代に遡ります。将軍家の菩提寺である芝の増上寺を参拝した家光一行は帰路に愛宕山の下を通りました。

季節は初春。愛宕山の源平の梅が満開の時期です。

「誰か、馬にてあの梅を取って参れ!」と、家光は家中のものに言いました。

しかし、写真でもわかるとおり男坂は目を見張る急勾配。馬を使って無事に往復できるはずもありません。

家臣たちは困惑して家光から目をそらしてしまう始末、家光の機嫌は徐々に悪くなり…。そんなときでした。突如、馬の蹄の音が石段に響きました。

ひとりの勇者が颯爽と男坂を登り始めたのです。しかし、その勇者を家光は知りません。四国丸亀藩家臣・曲垣平九郎だと知ったのは、家臣のひとことによってだったそうです。

ほどなくして勇者は山頂の梅を手に男坂を馬に乗って降りてきました。

「泰平の世に馬術の稽古怠りなきこと、あっぱれである」

平九郎は家光の記憶に深く刻まれたと同時に、日本一の馬術の達人として、その名を全国に広めました。

この話には後日談があります。馬で本当に石段を行けるのかと疑問に思った後世の人が検証したそうです。結果、馬術の達人によって平九郎の偉業は証明されました。

男坂を馬で上下した人たちを撮影した写真が神社にはあります。それを見れば平九郎の逸話は真実であるのがわかるのですが、参拝時に男坂を目の当たりにすると、にわかに信じられないのも心情です。

平九郎の一件以来、男坂は「出世の石段」と呼ばれるようになりました。

愛宕神社を参拝するときは地下鉄駅に近い東京メトロ神谷町駅から向かうのでなく、虎ノ門方面から来て大鳥居をくぐり、出世の石段を登りたいものです。

平日の午前中ならゆっくり見物できます


「高くしたい」のならタワー大神宮へ


安全だとわかっていても怖い「ルックダウンウィンドウ」


23区内最高峰の愛宕山を訪ねた後は、そこから徒歩約10分の東京タワーを訪ねました。

東京スカイツリーの完成以来、カゲが薄くなった感のある東京タワーですが、“高いところは地のパワーが天に向かうために集まる場所”のとおり、東京タワーは大都会東京のパワーが集まるところです。

2012年に竣工した東京スカイツリーは高さが634m、東京タワーは332.6mなので高さの違いは歴然です。

しかし、東京タワーの竣工は1958年。戦後の東京を中心とする発展を見届けてきたのはこちらのタワー。復興のシンボルとして土地だけでなく人の気持ちにまで大きな影響を及ぼしたはず。そうとなれば、東京タワーに集まるパワーは相当なものでしょう。

平日の早い時間に訪れましたが、すでに外国からの個人客、中国と台湾からの団体客で東京タワーは賑わっていました。

さっそく大展望台へのチケットを購入してエレベーターに乗り込みます。45秒の上昇で到着するエレベーターですが開業50周年を機にリニューアルされてより幻想的になっています。
めざすのは大展望台2階のタワー大神宮。こちらは人工物ではありますが、都内23区内でいちばん“高い”ところにある神社なのです。

伊勢神宮からご神霊をお受けしたタワー大神宮は「なにかを高くしたい」と願う人に人気です。たとえば、成績を高くしたいという受験生がこぞって訪れています。

出世の石段を登って愛宕神社を参拝し、神様同士は喧嘩をしませんから、その後に「地位を高くしたい」と、タワー大神宮を訪れるのも有効な1日かもしれません。

参拝のあとは「展望解説タッチモニター」などを活用しながら東京の景色を楽しむ。東京スカイツリーと異なりミッドタウン・タワーが同じ視線にありますが、それも東京の発展を感じられるひとつの要因でしょう。

でも、360度の展望を楽しんでいると、突然現れる「ルックダウンウィンドウ」に驚かされますが! 145mの真下が覗けるルックダウンウィンドウは東京タワーの骨組みがわかる窓でもあります。

昭和中期にこんな建物を完成させたなんて! やはり東京タワーはパワーが感じられる場所でした。

23区内の自然の標高第1位の愛宕山と、23区内標高第1位の神宮へ。気軽にできるおすすめのパワースポットめぐりです。

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●愛宕神社
ヴァーチャル参拝、おみくじを引くなどのコンテンツもあります。
http://www.atago-jinja.com/

●東京タワー
ショップの案内やイベント情報も掲載されています。
http://www.tokyotower.co.jp/index.html
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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