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  3. 九十九島の夜景を一望する風光明媚な丘の上ホテル 長崎県・弓張温泉
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長崎県佐世保市の西岸には、リアス式海岸と群島から成る九十九島が広がっている。この地域一帯は西海国立公園に指定され、観光地としても風光明媚なところだ。その高台に佐世保湾の絶景を独り占めするホテルがあった。
九十九島パールシーリゾート
所在地:長崎県佐世保市鹿子前町1008番地
TEL:0956-28-4187


2015年4月1日に就航した海賊遊覧船「みらい」。なんと遊覧船としては本邦初の電気推進船だ


マルモ水産 海上カキ小屋
所在地:長崎県佐世保市船越町944
TEL:0956-28-0602


殻付き牡蠣は1㎏900円。ホタテのように見えるヒオウギ貝(大)420円とサザエ(中)310円なども楽しめる


弓張の丘ホテル
所在地:長崎県佐世保市鵜渡越町510番地
TEL:0956-26-0800
●泉質:ナトリウム-炭酸水素塩泉(平戸温泉)
●源泉温度:35.2度
●pH:8.4
●日帰り入浴時間:6:00~10:30/12:30~20:00
●料金:大人700円、3歳~小学生400円


メモリアルセレモニーにぴったりな「弓張の丘ホテル」のアトリウム(プールテラス)


ベランダから見る佐世保市の夜景。右手前は在日米軍の軍港になっている


弓張温泉「彩海」。西海国立公園を一望する絶好のロケーション


本州最西端、長崎県佐世保市の海沿いは、岩礁が入り組んだ長さ288㎞にもおよぶリアス式海岸になっている。
離れ小島を含む佐世保市、鹿町町、平戸市にわたる一帯の名は九十九島(くじゅうくしま)と呼ばれる。数えきれないほどたくさんの島があるという意味だ。  

2001年、市民ボランティアの調査により、九十九島には208の島があることが確認された。
大きな島では五島列島や平戸の名勝が一望できる高島や、キリスト教会群が存在する黒島が挙げられる。
ライオンが寝そべっているように見える横島、いくつもの深い入り江から成る松浦島、ひとつの島が満潮時に3つに分かれる黒小島、潜水艦が浮かんでいるように見えるオジカ瀬など、形状や大きさ、景観はじつに多彩だ。

五島列島と平戸エリア、九十九島を含む一帯は、「西海(せいかい)国立公園」となっており、昭和30年(1955)3月16日に全国で18番目の国立公園として指定を受けた。  
平成27年(2015)年は指定から60周年を迎えたことになる。  

九十九島という名称は、江戸時代中期、徳川第8代将軍吉宗(1684-1751)の時代にはすでにあったと言われる。
一方で、平戸藩第9代藩主松浦静山(松浦清・1760-1841)が秋田県・象潟九十九島にならって名づけたとの説もあり、定かではない。

明治以降、九十九島が軍港要塞としての色彩が強まると、見たり近づいたりはしてはいけない制限区域となっていく。皮肉なことに、それが美しい自然が保たれる一因となり、太平洋戦争を経て国立公園に指定されていくことにつながるのだ。  

60年の時を経て、九十九島南部観光の基点となるのが「九十九島パールシーリゾート」だ。  
自然情報の展示やイベントを実施するビジターセンターのほか、九十九島水族館「海きらら」、動植物園「森きらら」、遊覧船ターミナルなどがある。
「海きらら」は九十九島の海をそのまま再現した屋外型大水槽があり、朝日が降り注ぐ様は海の中にいるかのよう。
遊覧船ではこの春に就航したばかりの海賊船を模した「みらい」が人気を博している。  

多少お腹が空いてきた。  
九十九島の食の名物といえば、なんといっても焼き牡蠣だ。  
パールシーリゾートから少し足を伸ばし、海上牡蠣小屋へ向かう。
船越という地域をめざし、クルマで10分ほど南へ進むと、漁港へと続く細い道へと入る。牡蠣小屋はその突き当りにあった。

海上の牡蠣養殖いかだの上に併設された炭火焼のスペース。
殻付き牡蠣1㎏に牡蠣チャウダー、牡蠣炙り焼きめし2個がついて1600円。
九十九島の牡蠣は1年物で、小ぶりなのが特徴だ。    

炭火で炙った牡蠣に火が通ると、わずかな隙間から蒸気が吹き出る。
渡されたナイフのようなヘラを使って殻をこじ開けるのにはちょっとしたコツがいる。
貝柱を切り、片方の殻を持ち上げると中には小さいながらもふっくらと膨らんだ牡蠣が。
レモン汁をかけてもいいが、何もつけずにそのまま頬張ると、海の塩気と牡蠣本来の旨味が口の中いっぱいに拡がった。  
1㎏でも20個以上はあるので、新鮮な焼き牡蠣を思う存分に楽しんだ。  

この日の宿泊地に選んだのは、佐世保を一望する弓張公園近くにある「弓張の丘ホテル」。  
佐世保川の近くから唐突に始まる急峻なワインディングロードを上っていくと、10分ほどで瀟洒なアーバンリゾートが姿を現した。  

受付を済ませ、エントランスフロアのロビーの横から外に出ると、プールとテラスが広がっている。
建物のデザインといい、雰囲気といい、まるでエーゲ海の島々にあるリゾートのようだ。眼下には佐世保の街並みと島々の景観が水平線まで続いている。

もし自分が佐世保に住んでいたなら、このプールサイドで出版パーティでも催すのだろうか。そんな気分にさせるほど、結婚式にも最適な、素晴らしいロケーションだ。

しかも客室は全室オーシャンビュー。
部屋のベランダから見る景色は、昼は佐世保市街地と九十九島を見下ろし、夕方には茜色に染まる空と海面が、そして夜は函館の夜景にも匹敵するほどの美しい港のイルミネーションへと、刻一刻と変化してゆく。

一日でこれほどまでに色彩の異なる眺望が楽しめるホテルには、なかなかお目にかかったことがない。  

温泉施設には、大浴場の弓張温泉「彩海」が併設され、大きなガラス窓越しに見る夜景もまた、格別なものがあった。

熱心な温泉ファンのためにひと言断っておくと、このホテルの弓張温泉は、いつもこの連載で掲載しているような源泉かけ流しではない。

平戸温泉から汲み上げた温泉をわざわざ丘の上にまで運び上げ、水を加えて循環ろ過して温めているため、本来の温泉成分による効能はほとんど期待できないと言っていいだろう。

それでも素晴らしい夜景とともに堪能する温泉は、歩き疲れた足腰の疲れを癒し、思い出とともに一日を締めくくってくれる。

効能や泉質ももちろん重要な要素だが、このホテルからの眺望を考えれば、こういう温泉旅があってもいいと、肯定的な気分になってしまう。

初めて訪れた九十九島には、温泉の泉質のよさに匹敵するだけの魅力が満ちあふれていた。

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九十九島パールシーリゾートへは西九州自動車道・佐世保中央ICから県道11号線、SSKバイパスを経由して約4㎞、10分。
九十九島パールシーリゾートからマルモ水産海上牡蠣小屋へは県道149号線を南下して4.5㎞、約12分。漁港へ行く道のポイントは、「JAながさき西海」の先、坂を下ってから右折。小さな看板が出ているので見逃さないこと。一車線の細い道を注意深く進むと駐車場が見えてくる。
弓張の丘ホテルまでは西九州自動車道・佐世保中央ICから4.7㎞、約12分。佐世保川沿い比良町の中華料理牡丹園からは上り坂で、看板の誘導通りの一本道になる。
< PROFILE >
長津佳祐
ゴルフや温泉、クルーズ、スローライフを中心に編集・撮影・執筆を手がける。山と溪谷社より共著で『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』を上梓。北海道から九州まで自噴泉の湯船を撮り下ろしで取材した、斬新な切り口の温泉本になっている。
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