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  3. 自然の恵みを堪能できる泉質が異なる川辺の露天風呂 大分・天ヶ瀬温泉
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九州北部、筑後川上流の玖珠川沿いに、温泉情緒豊かな天ヶ瀬温泉がある。名物は川辺の5つの混浴共同露天風呂。せせらぎの音を聞きながら、かけ流しの湯に入れば、大自然の恵みを実感できる。
天ヶ瀬温泉 浮羽別館 新紫陽
●住所:大分県日田市天瀬町桜竹瀧ノ下357
●泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
●泉温:77.1度
●pH:8.1
●湧出量:不明
●日帰り入浴:11:30~16:00(800円)
TEL:0973-57-3178


共同露天風呂、神田湯。囲いもなく、最も豪快だ。利用時間6時~23時

天ヶ瀬駅前にある足湯。単純硫黄泉でほのかに硫黄臭が漂う

浮羽別館新紫陽の男性露天風呂「天仰の湯」。木造階段を下った先にある4つの露天風呂のひとつ

木造階段は風情があり、道中には紫陽花の絵が飾られるなど配慮が行き届いている

浮羽別館新紫陽の日本料理。海の幸、山の幸に恵まれ、10品以上の料理が順に供される

浮羽別館新紫陽の最上階和洋室。畳でくつろぎ、ベッドでゆったり眠れる


九州北部を東から西へと流れる筑後川は、九州最大の一級河川だ。
熊本県の阿蘇山の外輪山に端を発し、大分県から福岡県、佐賀県を経て、有明海に至る。
上流はさまざまな名称で呼ばれ、阿蘇方面から北へ流れる田の原川、大山川は大分県日田市で西からの玖珠川と合流し、三隈川、筑後川と名称を変えていく。

この川の流域には大分自動車道と並行する国道210号が走り、九州北部の東西をつなぐ主要な幹線道路になっている。
また、筑後川流域沿いに温泉地が数多く点在するのも、じつに興味深い。
阿蘇山北部の外輪山の地殻は熱を保っていて、筑後川の水系と接するところで温泉が湧出するようにも思えてくる。

先日、大分・別府から筑後川沿いをドライブし、福岡へと抜ける取材旅行の合間に、いくつかの温泉地をめぐることができた。

今回は、別府や由布院と並び、「豊後三大温泉」と称される天ケ瀬温泉を取り上げてみたい。

8世紀前半、奈良時代初期に編纂された『豊後国風土記』に、天ケ瀬温泉の発祥が記されている。
天武天皇の御代(天武天皇7年/678年)に、日田郡(ひたのこおり)五馬山(いつまやま)で地震が起き、温泉が噴出した記述がある。これが天ケ瀬温泉を指すと考えられている。

玖珠川の両岸には、約20軒の旅館、ホテルが建ち並んでいる。
温泉の旅情を高めてくれるのは、川沿いにある5カ所の共同露天風呂の存在だ。
上流からわずか200~300mの間に鶴舞の湯、神田湯、薬師湯、駅前温泉が並び、吊り橋を渡った対岸に益次郎温泉がある。

かつて、天ケ瀬では、玖珠川の砂利を掘ると温泉が湧き出ていたという。
現在はいずれも上部の泉源から引湯されているが、かつての川沿い露天風呂の文化をそのまま継承し、せせらぎのすぐ横に豪快な露天風呂が設えられている。
すべて混浴で、囲いや脱衣所が設けられているわけではないので、女性はかなり勇気がいるかもしれない。
利用料はいずれも100円。
利用時間はおおよそ8時~22時頃までで、施設によって利用時間が異なる。
それぞれ、自治会が共同管理している浴場で、観光客だけでなく、近隣の人々も利用している。
管理者が常駐しているわけではないが、だからこそ、露天風呂を次世代につなげていくためにも、マナーはしっかりと守りたい。

天ケ瀬温泉のもうひとつの特徴が、宿の泉源により、単純泉、食塩泉、硫黄泉と泉質が異なることだ。
隣り合う宿でも泉質が微妙に違うので、温泉巡りをしてお気に入りの湯を探すというのも一興だ。
源泉温度が約70度~90度と高く、湯量が豊富なため、加熱、循環をしないかけ流しの湯が天ヶ瀬温泉の特徴でもある。

JR九大本線の天ヶ瀬駅前に観光案内所があり、その前には足湯と手湯が設けられている。
その泉質は、やや白濁した単純硫黄泉。
ほんのりと玉子臭が漂い、温泉気分を高めてくれる。

良質な温泉と、玖珠川を眺める風情ある露天風呂。
天ヶ瀬温泉は、街ぐるみで温泉の恵みを堪能できる、じつにのんびりとした温泉郷だった。

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最寄りのインターチェンジは、大分自動車道・天瀬高塚ICより県道54号、国道210号経由で10.5㎞、15分。大分・別府温泉からは国道210号で約64㎞、1時間30分。福岡空港までは国道210号で約80㎞、1時間50分。大分自動車道、九州自動車道を利用すると、約92㎞、1時間20分。
< PROFILE >
長津佳祐
ゴルフや温泉、クルーズ、スローライフを中心に編集・撮影・執筆を手がける。山と溪谷社より共著で『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』を上梓。北海道から九州まで自噴泉の湯船を撮り下ろしで取材した、斬新な切り口の温泉本になっている。
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