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夜が長い冬になると、イルミネーションや夜景がより一層美しくなります。越カメラマンがイルミネーションを美しく撮影するプロの手法を解説します。フォトコンテスト情報、壁紙プレゼントもお見逃しなく!

冬になると全国各地でイルミネーションイベントが行われ、とても華やいだ雰囲気に包まれます。そのまま撮ってもきれいなイルミネーションですが、今回はカメラの「多重露光(多重露出)」機能を使って、いっそう華やかなイルミネーションを撮ってみようというお話です。
多重露光機能がないカメラ機種もありますが、パソコンソフトを使って画像合成することができます。また、スマホで簡単に画像合成できるアプリもありますので、「多重露光」「多重露出」で検索してみてください。
なお、「多重露光」「多重露出」のほかに、同様の方法として「画像合成」など、さまざまな言い方・やり方がありますが、この記事中ではすべて「多重露光」とします。

写真Aはイルミネーションをそのまま撮ったもので、写真Bはその上にピントをワザと外した状態をもう一度写した写真になります。
「多重露光」とは、何コマも重ね合わせて露光をして1枚の写真にするテクニックです。フィルムカメラ時代に、フィルムを巻き上げず同じコマにそのまま何回も光を当てたことから「多重露光」と呼ばれています。
デジタルカメラが主流の現在においては、何度も露光するというよりは、何カットも撮影した写真をカメラ内で合成して1枚の写真にしています。
さて、本題に戻りますが、イルミネーションを撮るときの基本テクニックの一つとして、この「多重露光」が上げられます。これには大きく2つの方法があります。
方法①:(写真B)ピントの合っている写真の上にそのままピントをずらしたカットを重ね合わせる。
方法②:(写真H)まったく別々に撮った写真を1枚の写真にする。
この2つです。いずれの場合も、簡単に華やいだイルミネーション写真を撮ることができます。

写真A

写真B

撮り方のコツをもう少し詳しく解説します。
常套とも言える方法が、ピントの合っているカット(写真C)と、そのままワザとピントを外したカット(写真D)をそれぞれ1回ずつ=合計2回撮影し、1枚の写真にしたもの(写真E)です。
シャープに写った写真にぼけた写真が重なることで、光が帯(丸)となり彩りが強調されました。
いちいち構図を変えずにピントの位置をずらすだけなので簡単に撮影できます。この場合、同じ写真を2枚撮らないといけないので、三脚などを用いたほうがズレも少なく、撮影もしやすくなります。

写真C

写真D

写真E

もう一つは、まったく違うものをそれぞれ撮影し、1枚の写真として組み合わせる方法です。この場合、それぞれのカットに写る被写体を画面のどの位置に配置する(または重ね合わせる)のか、まずは頭で考えておく必要があります。
写真Hは、ライトアップされている建物(写真F)と同じ街で見つけたイルミネーションをぼかしたカット(写真G)を重ね合わせたものです。
現実にはあり得ない絵柄ですが、組み合わせることであたかもこんなにキレイな場所があるのかと、錯覚するような写真に仕上げることができます。
現在のデジタルカメラでは、モニターに映し出したあらかじめ撮影した画像を見ながら、別の写真を重ねて撮れる機種もあるので、いろいろな場面を組み合わせてみるのもおもしろいでしょう。

写真F

写真G

写真H

多重露光をする際に注意したいのが、ピントを外したカットを撮影するときのボケの大きさです。写真Iのイルミネーションを使って試してみましょう。
写真Jの上段のように、大きくぼかすとよりソフトな感じになりますが、ボケとボケが重なり合ってしまい雰囲気を損ねてしまうケースもあります。また下段のように、ぼかし方が小さいとこれはこれでごちゃごちゃした印象になり、すっきりと見えない場合もあります。
どのくらいにぼかすと雰囲気が出るかは、場面によって変わりますので、しっかり確認して撮影したいところです。
なお、一眼レフの場合は、ボケ具合を確認するには絞り込みを行なう必要があります。しかし、光学ファインダーで完全に再現することはできないので、一度試し撮りをすることをオススメします。
また、今回はぼかした複数枚の画像を重ね合わせていますが、ピントの合った複数の画像を重ね合わせることもできます。(参考:写真Kは窓についた水滴とユキヤナギの花を多重露光)。

写真I

写真J

写真K

もう一点注意したいことは、重ね合わせるカットとのズレです。再生された画像を見ながら2枚目以降が撮れる機種だと問題ないのですが、それが見られない機種では、写真Lのように1枚目と2枚目以降でズレが生じるケースがあります。
原因は、物理的にずれてしまうだけではなく、ピントを外すとそれだけでずれてしまう場合(広角レンズを大きくぼかした場合など)があります。
再生画像が見られない機種では、とくに注意が必要です。(正確には重ならないので、三脚に据えて位置を微調整したり、大きくぼかさないように工夫しましょう)。

写真L

「多重露光」で撮影する一番のメリットは、見た目とは違うあなただけの絵が作れることにあります。イルミネーションを華やかにするのはもちろんですが、工夫次第で現実では見えない別の世界を演出することもできるのです。
写真Mは、絞りF2.8でピントを合わせた状態と、絞りF16で(手前が大きくぼけるように)ピントをずらした状態を多重露光したものです。雪原に置かれたキャンドルライトですが、見た目(写真N)とはまったく違う幻想的な風景にすることができました。
上手く撮るコツは、とにかくいろいろ試してみること。見た目に満足せず、より幻想的なイルミネーションを描き出してみてください。

写真M

写真N
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘン」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。

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●イルミネーション・冬のイベント2018-2019年スケジュール
https://josei-hitoritabi.com/illumination-yukimaturi/

「女子旅のススメ」というコンテンツがあります。観光情報やグルメ、旅行記にホテルなどの宿泊施設の記事も豊富な、女子旅をするのに参考になるサイトです。
このなかに、2018年~2019年のイルミネーションをまとめたページがあります。
北海道は運河の街・小樽のイルミネーションやさっぽろ雪まつりを紹介。栃木県はあしかがフラワーパークのイルミネーション。千葉、東京、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、長崎などの毎年話題になるイルミネーション会場のこの冬の予定を掲載しています。
今から予定をたてて、目でイルミネーションを楽しみ、より一層幻想的な写真を越カメラマンのアドバイスに従ってものにしてみませんか?

2017年休暇村協会賞「ジュンサイ摘みて」柏舘 健さん
https://www.qkamura.or.jp/campaign/photo_contest/

休暇村協会が主催し、越カメラマンが理事を務める日本旅行写真家協会が共催する写真コンテストです。
どなたでも、何点でも応募が可能。旅先で撮影したとっておきの写真で応募してみてください。

●部門
「自然とのふれあい部門」
国立公園、国定公園の自然景観や周辺の生活、文化、人とのふれあいをテーマにした写真。
「休暇村旅の思い出部門」
休暇村に滞在して遊んだときの写真や、風景など。

●募集締切:2019年2月28日

●応募形態
単写真で2018年2月以降に撮影した自作の未発表作品であること。
サイズは「自然とのふれあい部門」がA4(四つ切り可)、「休暇村の思い出部門」は2LからA4まで。デジタル加工した作品も応募できます。ホームページにある応募用紙をプリントして、撮影データなどを記載のうえ、応募作品の裏側にセロハンテープでとめて郵送。

●賞品
協力が富士フイルムイメージングシステムズ株式会社、株式会社日本写真企画、株式会社学研プラス「CAPA」、株式会社モーターマガジン社なので、賞品も豪華です。「自然とのふれあい部門」は特選6名、「休暇村旅の思い出部門」は特選1名。賞状をはじめ休暇村の宿泊券や記念楯、オリジナルカメラバッグ、そのほか盛りだくさんです。
編集スタッフが取材ででかけたときに、その合間に撮影した写真でよろしければ…。という主旨の「壁紙プレゼント」コーナーです。
信州・安曇野に取材にでかけたときに撮影した写真です。稲穂は頭をたれ、そばの花が満開でした。
< 著者PROFILE >
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。
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