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スマートフォンでも十分に美しく撮れる昨今、インスタグラムなどのブームもあって、誰もが同じような写真を撮影しがちです。写真に自分なりの情景を加えるヒントを越カメラマンがアドバイスします。フォトコンテスト情報、壁紙プレゼントもお見逃しなく!

最近、「絶景」と呼ばれる場所が話題になり、誰でも手軽に絶景スポットに行って、スマホのカメラで美しい写真が撮れる時代になりました。
しかも、スマホのカメラでも美しく撮れるように、わざわざ“お立ち台”を設置する場所も増えてきました。
「絵になる場所」で写真を撮るのは楽しいことですが、せっかくカメラを持っているのに、誰が撮っても同じ絵柄ではちょっとつまらなくありませんか?
そこで今回は、写真の雰囲気を変える情景描写とはどのようなものかを考えてみたいと思います。

今回の解説のために写真を探していて、自分でもビックリしたのですが、2004年に撮影した写真Aと2016年に撮影した写真Bが若干の違いこそあれ、ほぼ一緒じゃありませんか!! 私としたことが……。
それはさておき、ご覧いただいてお分かりの通り、この2点は横浜の大桟橋フェリーターミナルから見たMM21地区の夕景です。デジタルカメラの進化によって、写真Bのほうがもちろんキレイに撮れていて、街の姿も少しは変わっています。しかし、写真の内容自体は何ら変わりません! これでは誰が撮っても一緒です。
どうしてこうなるかというと、この場所は既に誰もが知っていて、既に同じような写真がたくさん撮影されているから。有名な場所であればあるほど(とくに夜景のポイントはなおさら)、雰囲気は変えづらいものです。むしろ、この場所で他の人と違う雰囲気の写真を撮るのは、程度の差こそあれ至難の業と言えるでしょう。

写真A

写真B

前出の横浜の夕景同様、写真C写真Dの東京ゲートブリッジ、写真E写真Fの山梨県山中湖平野地区からの富士山といった場所も、雰囲気を変えるのは難しい場所です。
とはいえ、元々キレイで絵になる場所なのですから、今時のカメラならそれなりの写真は誰もが撮れるはずです。しいて言うと、いずれの場所も気象条件(季節も含む)の違いによって雰囲気に差が生まれます。つまり、気象条件の違うときに何回か通えば、違う雰囲気の写真を撮ることはできます。
しかし、ドライブででかけたときが条件のいい日ばかりとは限りません。しかも、もっと大胆に雰囲気を変えるには、大雪でも降った次の日の早朝に出かけるといったことをしなければなりません(ここまでやっているのがプロカメラマンやハイアマチュアと呼ばれる人たちです)。
そこで、今回は少し視点を変えて、写真の雰囲気をもう少し簡単に変えるにはどうしたらよいのかを考えてみましょう。

写真C

写真D

写真E

写真F

前出の場所の最大の欠点は、撮影場所が限定されていて、自分で周りの情景や背景をコントロールしにくいことにあります。天気次第で、要は他人任せです。
それに対し、本来写真を撮る作業というのは、そうした情景や背景を自分自身でコントロールし、自分が撮りたい主役を引き立たせたり、雰囲気を引き出したりすることにあると私は考えます。
簡単な実験をしてみました。室内撮影用に作った花のポットを、写真Gは商品撮影用のグラデーションペーパーの上に、写真Hは文字の入った包装紙の上に、それぞれ載せて同じライティングで撮影してみました。
たったこれだけの違いですが、写真Hは窓辺にでも置かれているような雰囲気が出ているのに対し、写真Gはまるでカタログの写真のようです。
このように、ちょっと背景を変えるだけでも写真の雰囲気はガラリと変わり、これを活かして写真を撮るほうが、気象条件任せよりも簡単で楽しみももっと広がると思うわけです。

写真G

写真H

背景や周囲の情景に目を配りながら被写体を探してみると、意外な発見に繋がります。
写真I写真Jは、山里に咲いていた桜を少し遠い位置から山を背景に狙ってみたものです。山の山頂部分をカットした写真Iは桜の存在感が際立っているのに対し、山頂まで入れた写真Jは桜咲く山里といった雰囲気が出てきていると思います。
このように、画面にどこまで入れるのかを吟味することが写真の雰囲気作りに大いに役立つのです。
先の写真で見ると、写真E写真Fの山中湖から眺めた富士山は、手前の湖面をどこまでどのように取り入れるかで雰囲気を変えることができます。逆に写真A写真Bの横浜の夕景は、そうした要素すら少ないことが、雰囲気を変えづらくしているのです。

写真I

写真J

写真は見た目通りにキレイに撮ることより、光の当たり方や陰の出方をよく観察し、それを写真にしてみることが大切です。写真K写真Lはその例です。
古い構造物である、東京都北区赤羽にある旧岩淵水門を狙ってみました。赤く塗られた構造物がとても印象的なことから、青空がバックになるときを選んで撮影しました。水門に光が当たり手前の橋の部分が目立たなくなるよう陰ができているときに狙ったのが写真Lで、赤い構造物が黒い陰の中に浮かび上がりました。奥の方まで光りが当たり奥行きが感じられ、重厚感を出したかった狙いにもピタッと填りました。
一方、写真Kは手前の橋の部分が目立ってしまい水門は際立っていません。 こうして、光と陰を自分自身でコントロールすることが写真の絵作りに繋がるのです。

写真K

写真L

本来、写真は見たものをそのまま撮るだけではなく、頭の中に描いた自分なりの絵をカメラを通して写真に描き出す作業です。画家が筆で絵を描くのと一緒です。そのときに大切なのが、どんな雰囲気の絵にしたいかしっかりイメージすること。
旧岩淵水門の周辺の荒川の土手は写真Mのような場所です。見た限り何の変哲もない場所です。しかし、この日はちょうどよい感じで雲が出ていたので、思わず荒涼とした台地が頭に思い浮かび、露出補正を-1.3ほどかけて、地面すれすれから写真Nを撮影しました。タイトルは「悠久の大地を行く」といった感じでしょうか。
ぜひ皆さんも、自分の頭に描き出した世界をカメラで狙ってみてはいかがでしょうか。

写真M

写真N
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘン」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。

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●日本清流百選
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日本にはさまざまな「百選」があります。
日本清流百選は、北海道から九州まで幅広く選定されています。
たとえば鮭がのぼる北海道の美しい川。最後の清流といわれる高知の四万十川をはじめ、都会的な風景と架かる橋が魅力的な隅田川など、個性あふれる選定となっています。
これからの季節は色味が少なく、川の景色も寒さの中にあります。しかし、これから定期的に通って、四季の川景色を追ってみるのも楽しいのではないでしょうか。
http://www.a-kawara.jp/contest/input.php

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ホームページ上の応募フォーマットに記入のうえ、写真を添付。1画像3MGまで、1回ひとり2点まで。

●賞品
淡路県民局長賞:豪華ペア宿泊券(1点)
南あわじ市市長賞、淡路瓦工業組合賞も豪華ペア宿泊券(1点)
優秀賞:淡路島特産品セット
編集スタッフが取材ででかけたときに、その合間に撮影した写真でよろしければ…。という主旨の「壁紙プレゼント」コーナーです。
海外のクルーズ旅行者にも人気の高い「瀬戸内多島美」。岡山県の瀬戸内市で撮影した海景色です。瀬戸内海には大きな太陽の光が注ぎ、海はとても静かで、ゆったりとした時間が流れていました。
< 著者PROFILE >
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。
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