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  3. 戦国時代の三河支配の拠点、豊橋の城と神社【愛知県豊橋・吉田城、安久美神戸神明社(あくみかんべしんめいしゃ)】
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今川氏親や松平長親らが活躍した戦国時代初期。今川義元が力をもった戦国時代中期。そして徳川家康の威力が増した戦国時代末期。三河は重要な拠点でした。現在、豊橋には復元された吉田城と、お城のすぐ近くに安久美神戸神明社が残ります。

菜の花咲く渥美半島


復元された吉田城(豊橋公園内)


安久美神戸神明社の社殿


愛知県渥美半島はフルーツの産地としても知られています。

冬期のイチゴ、夏期のメロンはとくに有名で、新鮮なフルーツを求めてやって来る人も少なくありません。

また、1月から3月は菜の花が半島各地に咲き乱れ、菜の花まつりも半島内で開催されます。

豊橋は渥美半島の付け根部分に位置します。ここは、戦国時代に勢力拡大のための重要な拠点でした。



吉田城(豊橋城)は、1505年に今川氏親の命によって建造されました。その目的は西三河で勢力を増している松平長親の東三河進出に対抗してのものでした。

また、松平氏と友好関係にあった渥美半島の戸田宗光を警戒するためだったとも伝わっています。

実際に、1506年には今川氏と松平氏の戦いが起きています。吉田城城主の牧野氏と戸田氏の間で度重なる争奪戦も繰り広げられています。

1546年になると今川氏が戸田氏を攻め、今川氏が吉田城の直接支配することで、東三河が安定しました。

しかし、それも長続きしません。わずか19年後、1565年に今川氏を離反した松平氏によって攻略され、今川氏は三河の支配権を喪失してしまいます。



戦国時代後期になると徳川家康の力が強くなります。

1570年、徳川家康はお隣り浜松の城に入城しています。その後、東三河を統率。吉田城城主に重臣の坂井忠次を任命します。

武田軍の侵攻などもありましたが、この地は徳川氏の支配下としての落ち着きを見せます。

豊臣秀吉によって徳川氏が関東に移封されて池田輝政が城主となりますが、関ヶ原大戦後に江戸幕府が確立すると、東海道の防衛拠点として幕府が注目。吉田城は幕府の重要な城の一つになりました。

城のすぐ後ろに豊川が流れ、城の南側に今でも鍛治町、上伝馬町、呉服町などの江戸風情を感じる町名が残ります。国道1号も町の中心部を走っています。

社殿には初宮詣での家族がいました


新たに植えられた東照宮御腰掛松


豊橋から三重県の伊勢はとても遠いイメージがあります。確かに、豊橋から名古屋を経て伊勢に行くには三河湾、伊勢湾をぐるりと回っていかないといけません。陸路では遠いのです。

ところが、渥美半島の突端である伊良湖岬まで行くと、伊勢はその海の先にあります。

いくつかの島が途中に浮かんでいますが、伊良湖岬から伊勢までの距離はわずか22kmほどなのです。



時は939年。平将門が関東で乱を起こしました。京の朝廷は勅使を伊勢神宮に派遣して関東平定を祈願します。

その翌年、平将門の乱は終わります。

時の天皇は三河国渥美郡北端に位置する安久美(飽海)荘(現在の豊橋市中心部)を伊勢神宮に寄進しました。以来、海を渡れば伊勢から近いこれらの地は「安久美神戸」と呼ばれる神領地になりました。

伊勢神宮より司が派遣され、天照皇大神を奉斎して地域の繁栄を祈願したのが安久美神戸神明社の始まりと伝わります。

実際に米、酒、絹、油、糸などが伊勢神宮に毎年奉献されていたのが文献に残っています。



戦国時代になると、武家たちがこの由緒ある神社を見逃すわけがありません。

今川氏は社殿の造営や太刀の奉納などを行って信仰しました。

現在の境内はそれほど大きくありません。境内には護国神社、猿田彦社、などの御末社がありますが、社殿の横に「東照宮御腰掛松」がありました。

東照宮とは徳川家康のことです。1554年、まだ竹千代と呼ばれていた家康は吉田城を訪ね、その際に安久美神戸神明社の鬼祭を見物に来たと伝わっています。その時に腰掛けた松というわけです。

その時の松とは別のものですが、現在は似た松が植樹され、旧社地の松の根元にあった大石が、安久美神戸神明社に移されています。

鬼祭の装束が展示されていました


境内は小さいけれど美しい神社です


あんかけスパゲッティは豊橋名物!


以前、このコラムで取り上げた秋田の「なまはげ」がユネスコの無形文化遺産に登録されて話題になっています。なまはげを体験するツアーなども大好評だったようです。

同じような鬼が奮闘する祭りが安久美神戸神明社でも開催されます。

例年2月10日、11日の開催ですので来年の予定に…となりますが、「鬼祭」もまた国の重要無形文化財に指定される珍しい祭りです。

この祭りは農作物の豊穣を祈願するもの。この地の農作物は前述のように伊勢神宮にも奉納されていますから、豊穣であることがとても重要だったのでしょう。

また、祭りは神話を取り入れたものになっています。

祭りのクライマックスは「赤鬼と天狗のからかい」と呼ばれるものです。

暴れる赤鬼を天狗が退治する無言劇で、劇は天狗の勝利となります。しかし、その後に続きがあります。

敗れた赤鬼は若衆と共に白い粉と飴をまき散らしながら境外に走り出していきます。そして、この粉を浴び、飴を食べると厄除け効果があり、夏病みしないですむというのです。

私はこの祭りを見ていませんが、土地の人に聞くと赤鬼から発せられる「アーオー!」というかけ声は、迫力に満ちているそうです。



安久美神戸神明社では安産守護、七五三や成人式などの人生儀礼の祈願、厄除け、八方除け、家内安全の祈願などを受け付けています。

訪れた日も初宮詣でのご家族が二組いました。



お参りの後は豊橋ならではのグルメを楽しみたいものです。

私のイチオシは豊橋名物の「あんかけスパゲッティ」。さっそく訪ねたのはスパゲッ亭チャオ本店。熱々鉄板に乗って出てきたあんかけスパゲッティのカニコロ付きはクセになるおいしさでした。

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●東名高速豊川ICから南下すると豊橋に出られます。時間があれば観光名所が多い渥美半島もドライブしてみたいものです。
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http://www.honokuni.or.jp/toyohashi/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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