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  3. 富士山麓の新しく美しい温泉地【山梨・河口湖温泉郷】
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近年、ボーリングによって開削された新しい温泉地が全国に生まれています。河口湖温泉郷も平成になってから開かれた温泉地です。富士山の眺めが抜群で、人気の観光地だった河口湖は、温泉の誕生により魅力が倍増しました!
日没後も美しい富士山の稜線と河口湖周辺の街並み

かちかち山=天上山に上るロープウェイ

春から秋にかけては湖上観光も盛んになる

紅葉と富士山

湖山亭うぶやの景観抜群の温泉施設。うぶやにはジャグジーやスパもある(※湖山亭うぶやホームページより)

河口湖温泉旅館協同組合
●住所:山梨県南都留郡富士河口湖町船津
●主な泉質:カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(低張性弱アルカリ性高温泉) pH目安:7.2~9.4
●源泉温度:28.8度~45.2度
●宿泊&日帰り:各施設ごとにさまざまなプランを設定
TEL:0555-72-0346
【温泉むすめ情報】
河口湖 多佳美
意識が高く妥協を許さない、一番にこだわるお嬢様。一番意外の順位をとると、自分を鍛え直すために富士山で山籠もりを始めてしまう。


河口湖は富士五湖の一つ。面積は山中湖に次いで2番目に広い約5.7㎢。標高はもっとも低く、約830m地点にある湖だ。
五つの湖のなかで、早くから観光開発されたのも河口湖である。明治時代後半に馬車鉄道が開業し、やがてそれは電気軌道となって発展。国内旅行がブームになりつつあった1950年に大月~河口湖が全線開通した。
また、1961年には富士急ハイランドの前身である富士五湖国際スケートセンターが開業。現在では多数の絶叫マシンをそろえる遊園地として、収入ランキングでも日本の遊園地トップ10にランキングされている。



アクセスのよさや個性的な遊園地の存在も河口湖観光の人気の要因だが、その魅力の基本は富士山と湖の景観美にある。富士急ハイランドとは反対側、河口浅間神社や河口湖木ノ花美術館周辺から河口湖方面を望めば、すぐ前に河口湖、そしてその奥に悠然とそびえる富士山が眺められる。
この景観美を目に焼き付けられるだけでも、河口湖温泉郷へのドライブは価値がある。



昔話『かちかち山』を覚えておられるだろうか。
農作業を営んでいた働きもの老夫婦の畑に性悪タヌキがやって来て、大事な種や芋を掘って食べてしまう。
業を煮やしたおじいさんは、タヌキに罠をかけて捕まえる。
「タヌキ汁にしてしまおう」と言い残しておじいさんが作業に出かけると、タヌキはおばあさんに嘘をつく。
「もう悪さはしません、家事も手伝います」と懇願し、まんまと罠を解いてもらうのだ。自由になったタヌキは豹変、おばあさんを撲殺して、なんと鍋にしてしまうのだった。
タヌキはおばあさんに化け、おじいさんに「タヌキ汁だよ」と食べさせると、笑いながら山に帰ってしまう。
騙されたと知ったおじいさんはウサギに相談。ウサギはタヌキを柴刈りに誘う。ウサギはタヌキが背負った柴に火打ち石を使って“かちかち”と火を付け、タヌキの背中にヤケドをさせる。
さらに後日、膏薬と称してトウガラシをヤケドに塗ってタヌキをこらしめる。
仕上げは「魚がたくさん獲れる」と言ってドロの船にタヌキを乗せることだ。海に出たタヌキは、やがて船が壊れて溺れ死んでしまうのだった。



ドロ船が海に出るというストーリーのため、この昔話はどこかの海の町のものだろうと思っている方が多いかもしれない。しかし、河口湖の東南にある天上山が物語の舞台なのだ。
湖畔に山麓駅がある河口湖富士山パノラマロープウェイは、「カチカチ山ロープウェイ」と呼ばれる。ウサギとタヌキが柴狩りに行った天上山山頂の公園まで5分足らずで上る。また、昔話で“海”と称された河口湖は山上から一望できる。そして、目の前に富士山がそびえる。山上からは360度の展望が楽しめるのだ。



これだけ景色がいい場所だ。当然、この地域に泊まって河口湖周辺の観光を存分に楽しみたいものだ。
しかし、「どうせ宿泊するのなら温泉があるところに泊まりたい」ということで、その後は御殿場を超えて箱根温泉界隈や、甲府方面に走って石和温泉などの古い温泉地に移動する人も少なくなかった。



1992年、河口湖畔での開削によって、温泉を汲み上げることに成功する。
源泉によって湯温も成分も若干の違いはあるが、そこに湧いた湯は河口湖畔の宿泊施設の湯船を満たした。
たとえば「天水の湯」は泉温45.2度、低張性アルカリ性の泉質で、pH値は9.0。とろりとした湯だ。
「霊泉の湯」は浅川地区の源泉で、同じ低張性アルカリ性でありながらpH値は7.8。肌触りのやさしい湯が出た。



現在、河口湖温泉旅館協同組合に加盟している温泉宿泊施設は22施設。各宿ともに湯船に趣向を凝らしている。
所在地にもよるが、湖をすぐ前にする露天風呂、河口湖越しに富士山を眺める露天風呂や内湯、河口湖の自然に包まれた野趣あふれる湯船など、どこに泊まり、どの湯に浸かるかを考えるだけでも楽しいひとときになる。



首都圏から中央自動車道利用でアクセスがいい河口湖。温泉地としての歴史は30年ほどとそれほど長くはないが、アルカリ性のやさしい湯が湧く河口湖温泉郷。
新しい温泉のよさの一つが、従来の古い温泉地の姿を超越している点かもしれない。河口湖温泉郷の宿泊施設によっては内湯、露天風呂だけに限らず、スパ施設や、ジャグジー浴ができるところもある。
これらを堪能するのも新しい温泉郷での過ごし方の一つだ。



河口湖の最大の魅力は富士山の景観美であると前述したが、その姿は春夏秋冬で大きく異なる。
「河口湖温泉郷は一度行ったから…」ではなく、四季の景観を眺めに、季節が変わるたびに訪れたい温泉でもある。

都心から中央自動車道を利用して大月JCT経由で河口湖まで約70分。東名高速御殿場ICからでも国道138号須走、東富士五湖道路経由で富士吉田まで約30分とアクセスは非常にいい。
< PROFILE >
篠遠 泉
出版社勤務時はスポーツやアウトドア、旅関連ムックの編集長を務める。山と溪谷社より共著で『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』『ぶくぶく自噴泉めぐり 改訂新版』を上梓。旅雑誌などに連載中。

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