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  3. 3億年かけて完成した神秘の大自然【広島県・帝釈峡】
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この連載では全国の神社や寺、加えて自然のパワースポットを取り上げてきました。最後を飾るのは、3億年もの長時間をかけて完成した自然のパワースポットです。遊歩道を散策すると不思議な岩や鍾乳洞、天然橋に辿り着きます。

紅葉の神龍湖を行く遊覧船


風歩道を散策するご夫婦


遊歩道は自然のパワーが満ちています


日本全国を取材で移動すると、さまざまな景色に出合います。中部地方ではその先にとんがった山々を見ることができます。
一転、中国地方では比較的低い、丸みを帯びた山々が連なります。さらに、山々の合間には、ごろごろとした大きな岩が露出しており、独特の景観を生み出しています。
中国山地は全般的に風化しやすい花崗岩が多く、長い歳月にわたって浸食を受けた痕跡も見受けられます。山肌にごろごろとした岩が眺められるのも、鍾乳洞が多いのもこうした理由です。



中国地方全体でパワースポットを探せば、山陰はとくに数多くの神話が残る土地ですから、出雲大社を筆頭にパワースポットとして知られる神社やお寺が点在しています。
同様に、中国山地特有の自然が生んだパワースポットも多く見られます。たとえば、高梁にある「夫婦岩」は石灰岩の山だからこそ、風化によって生まれたパワースポットです。
「秋芳洞」は秋吉台の山麓にある東洋最大級の大鍾乳洞で、その総延長は10kmともいわれています。
これもまた、中国山地という自然が生んだものです。



「帝釈峡」は中国山地の一角にあり、広島県の庄原市と神石高原町にまたがって位置しています。国定公園にも指定された景勝地ですが、ここもまた石灰岩台地が長い歳月によって浸食されて形成されました。
鍾乳洞や渓水浸食によってできた巨大な天然橋などがあり、人工湖ではありますが神龍湖の景観ともマッチしています。



神龍湖には自然林の美しい景観が眺められる観光船が運航されています。新緑や紅葉の時期、涼風吹く暑い時期には大勢の観光客が訪れます。

奥行き200mの白雲洞


高さ10mの鬼の供養塔


帝釈峡は広いエリアに及んでいます。大きく分ければ遊覧船が運航されている「神龍湖エリア」、その北側に当たる「上帝釈エリア」、さらにそれ以外の地域となっています。
前述したように、遊覧船からの景観を楽しむなら神龍湖エリア。そして、帝釈峡のネイチャーパワーを浴びながら、ゆっくり散策したいのなら上帝釈エリアがいいでしょう。



神龍湖側から散策路を歩くと、桜橋を経て上帝釈方面へと歩けますが、途中には急な坂道が待っています。
そこで、クルマを「永明寺」側の駐車場に止め、そこから歩き始めたほうがいいでしょう。このルートは非常に歩きやすく、見所がいっぱいなのです。



私も永明寺側の駐車場にクルマを置いて歩き始めました。
渓流沿いの緑に包まれた遊歩道は爽快で、10分ほど歩くと「白雲洞(鍾乳洞)」の入り口に出ました。
約15分で見学できる鍾乳洞ですが、寄るのは帰路にしました。この先まで歩けば当然汗もかくでしょう。鍾乳洞の内部は自然のエアコンが効いています。火照った身体を冷ますためにも、汗をかいた後に立ち寄ることにしたのです。



先に進むと「唐門」「鬼の供養塔」といった自然が造った洞窟や、脊柱が現れます。
周囲はマイナスイオンが溢れていて、さらに長い歳月をかけて風や水が造った岩の芸術。自然のパワーが充満しているのを目と身体で感じられるでしょう。
帝釈峡の遊歩道散策は、単なるハイキングではありません。自然の造形を楽しみ、身体にパワーを溜め込むウォーキングなのです。

天然橋「雄橋」に圧倒されます


遊歩道の周囲には岩の芸術が


上帝釈では水陸両用車にも乗れます


遊歩道はさらに続きます。帝釈川が地層を侵食し、帝釈峡でもっとも急流となる「断魚渓」を過ぎて素麺滝までは片道約1時間。ここまで歩くのがおすすめです。
しかし、「長すぎる」とか、「時間がそれほどない」というケースもあるでしょう。そんな時でも、雄橋だけは見てください。雄橋こそ、パワースポット帝釈峡を代表する自然の造形美なのです!



雄橋は長さ約90m、高さ40mの自然が造った橋です。実際に、かつては橋として利用され、人や籠、馬も通ったそうです。
渓水の浸食によってできた巨大な天然の橋は、チェコのプレビッシュトアー、アメリカのナショナルブリッジと並んで、世界三大天然橋に数えられています。
ま、この「三大」というのは、どんなジャンルでも“謎”が含まれていますが(「日本三大美人の湯」とか・笑)、それでも雄橋のみごとな姿には圧倒されてしまうでしょう。



写真を掲載しましたが、写真で見るよりも実物ははるかに巨大です。私が訪れた時は、あいにく他の人がいませんでした。そのために、人物を写真に入れて大きさを示すことができません。
もしも、川沿いに人が立ったとしたら、右手前の階段の上部が身長よりも十分に高く、橋の底部まで4m近くあると思います。橋の幅も18mあります。それほど、どっしりとした橋なのです。
生活道路の橋として実際に利用されていたというのも納得できますし、大勢が渡ってもビクともしなかったでしょう。



大きな岩を水と風が削ってできた大橋。これぞ、地球のパワーです。
さまざまな神様を祀る神社、そしてお寺なども日本が誇るパワースポットです。
加えて、山岳信仰をはじめとする自然の力を日本人は昔から尊んできました。帝釈峡とその代表ともいえる雄橋は、まさに自然のパワースポットなのです。

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●山陽自動車道福山東ICより国道182号、314号あるいは県道25号経由で約65km。
●中国自動車道東城ICより国道314号あるいは県道25号経由で約10km。
●帝釈峡観光協会
http://taishakukyo.com/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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