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2004年7月、日本で7番目の世界遺産として「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録されました。熊野本宮をめざして伸びる参詣道は、かつて後鳥羽院、藤原定家、和泉式部も歩いた神秘の道。一度は訪ねてみたいパワースポットです。

大きな杉を背後に佇む熊野本宮大社。長い歴史を感じさせます


境内にあった“八咫烏”。三本の足をもつカラスは太陽の化身、戦で神武天皇を助けたという伝説があります
2004年に世界遺産に登録されたときから、熊野三山と熊野古道は訪れてみたいパワースポットでした。

しかし、“ついで”に行ける場所ではありません。別の取材の合間に行くには、紀伊半島の南端に近い熊野三山が遠すぎるのです。

かつて南紀白浜までクルマで行ったときは、東京から10時間以上かかりました。現在、紀伊自動車道が紀勢大内山まで伸びているとはいえ、それでも一般道を走る距離は相当なもの。

その熊野三山に行く機会がやっと訪れました。

まずは「熊野本宮大社」へ足を運びます。神武天皇ゆかりの八咫烏(やたがらす・今や日本サッカー協会のシンボルになっています)が境内で目に付く本宮大社。

熊野詣でが皇族や将軍家、修行僧だけでなく、庶民の憧れになった江戸時代、本宮大社は熊野川の中州にありました。

しかし、明治22年の大洪水で半分以上の社殿が流出、残された社殿を山の上に移築して現在の本宮大社は形成されています。
大注連縄のかかる門をくぐると、その奥には熊野の大杉をまるで屏風のように背にした社殿が現れました。

濃い茶色をした社殿は、朱色や見渡す限りの金を纏ったような華やかさはありません。

左手の社殿は牟須美(むすみ)と速玉(はやたま)、中央の社殿は主神の家津美御子神(けつみみこのかみ)、右手の社殿は天照皇大神(あまてらすすめおおみかみ)が祀られています。

これらの社殿に派手さはないものの、自然が豊かに残る紀伊の山に似合い、第十代崇神天皇の時代に創建されたという長い歴史を感じさせます。

境内に流れるのは神秘的で壮大な雰囲気。たぶん、それは熊野の大自然の中に建つからこそのものだと感じました。

昔のままの姿で残っている部分が多い熊野古道には数多い伝説があります


海辺の大社にふさわしい華やかさがある熊野速玉大社
「これが2回目なんですよ」と、王子で休む夫婦が話してくれました。

王子とは熊野詣での人々の休息の場となった小さな神社です。

ちなみに大阪から熊野に至る熊野古道“紀伊路”の王子は「九十九王子」と呼ばれていますが、実際の数ではなく、その多さを表現してつけられたものです。

さて、熊野古道と呼ばれるルートは伊勢神宮と熊野三山を結ぶ“伊勢路”、高野山と本宮を結ぶ“小辺路”、田辺と本宮を結ぶ“中辺路”、紀伊半島の西側を通る“紀伊路”、紀伊半島の南側を通る“大辺路”などがあります。

平安、鎌倉時代には貴族たちが護衛の武士や女官など数百人のお供を従えて熊野への道を歩き、熊野三山をめざしたという記録があります。

江戸時代になると熊野詣では一般にも普及し、京都から熊野へと続く道は、参拝者たちで溢れました。「蟻の熊野詣」と言われたのがその証拠です。

熊野は昔から「黄泉還り(よみがえり)の地」、「人生の出発(たびたち)の地」と信じられているだけに、熊野詣では絶大なる人気を誇ったのでしょう。

それは現代でも同じ。今日のハイキングブームも手伝い、昔のまま残る熊野古道を歩いてみたい、古道を辿って熊野三山を参拝してみたいという方が後を絶ちません。

「今日は奈良県の十津川温泉から歩いてきたんですよ。小辺路の最終ルートを楽しんでいます」と、冒頭のご夫婦。

熊野三山詣では熊野古道を歩いてみることから始まるのです。

豪快な那智の滝を借景にした熊野那智大社


本宮大社から近い湯の峰温泉。風情があり、さらに純度100%の温泉が自慢


湯の色が1日に7回変わるという世界遺産の“つぼ湯”。その秘密は底で湧き出しているから
熊野三山とは本宮にある熊野本宮大社、紀伊半島東側の海辺の街、新宮にある熊野速玉大社、那智の滝で知られる熊野那智大社の総称です。

訪れる機会が少ない熊野ですから、クルマで三山をまわりました。

三つの大社がそれぞれ個性的なのに驚きを覚えます。

本宮大社には自然の中の落ち着き、速玉大社には誤解を恐れずに書くなら艶やかさ、そして那智大社には大きな滝を横にした豪放さを感じました。

もちろん、参拝者それぞれに抱く想いは異なるでしょう。しかし、私には個性的な三つの大社が融合して、ひとつの大きなパワーを発しているように思えたのです。

神秘さの残る熊野三山を詣で、熊野古道を歩いて心を洗ったあとは、身体をリラックスさせてあげたい。
最適な温泉が熊野にありました。

湯の峰温泉は日本最古の開湯1800年を誇る湯です。数軒の宿が軒を並べる中央に川が流れ、そこから湯気が立ち昇ります。

自噴泉をそのまま湯船に引き入れ、かけ流しにした温泉が自慢の宿が多く、良質の湯が味わえるのが湯の峰温泉の魅力。

なかでも“つぼ湯”は湧き出る温泉をそのまま壷状の小さな湯船に貯めたもので、湧き出したばかりの100%の湯を直に楽しめます。

世界で初めて世界遺産に登録された温泉浴場なのですから、入らずにはいられません。
そして、宿の食事には名物の鮎が…。

心と身体とお腹を満たしてくれる熊野三山詣で。ぜひ、一生に一度は!!

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●熊野本宮観光協会
http://www.hongu.jp/

●熊野本宮大社
http://www.hongutaisha.jp/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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