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場所、被写体、光…、これらが融合して作り出す「美しい瞬間」。写真はその一瞬を切り取る芸術です。しかし、往々にして写真技術の未熟によって、ベストタイミングを逃してしまうもの。そうならないための秘訣を伝授しましょう。

これまでの連載は主に“写真を撮る撮影場所(ステージ)作り”に関わる内容を中心にプロの目線を解説してきました。ステージが立派でも芝居の善し悪しが演じる役者で決まるように、どんなに素晴らしい撮影場所が用意されても、カメラマンの“腕”が悪かったらよい写真にはなりません。このカメラマンの腕とは何なのでしょうか。 個人的に私は“写真は時の芸術である”と考えています。
見えない動きの中の一瞬あるいは、しばらくの間連続する動きを、シャッタースピードと写すタイミングの選択によって作品にする。
つまり、ある“選択時間分”の事柄を1枚の絵に凝縮する作業が撮影なのです。
これぞ撮り手の腕の見せどころで、私が写真を「時の芸術」という理由はここにあります。シャッター速度を何秒にして、いつ切るのか。用意されたステージを最高のステージにできるかどうか、撮り手の腕にかかっているといえます。
一連の動きのある絵として見せられる動画に対し、写真は泣いても笑っても止まった状態の1枚の絵としてしか見せられません。ここが動画との決定的な違いで、写真においては「時の選択」がとても大切になります。だからこそ写真は「時の芸術」なのです。
前置きが長くなってしまいましたが、これから数回はこの「時の選択」という部分について解説していきたいと思います。

さて、今回のお話は“高速シャッター”についてです。
現在のカメラは、主に1/2000秒~1/8000秒が高速側の限界になっています。ここでは、1/500秒以上~限界値までを高速シャッターとして話していきます。
高速シャッターを使うと、ある動きの中の一瞬だけを”切り撮る”ことができます。スポーツ写真などでは多く使う高速シャッターですが、風景写真においては、波の動きや川の流れを止めたり、風景の中を行く列車を止めて撮る時に有効です。

まずは、作品を見ていただきます。風にあおられて立ち上がる波飛沫。その一瞬を1/640秒でとらえた作品(写真A)です。
用意した舞台は愛知県伊良子半島の最先端。「日出の石門」と呼ばれる奇岩を望む海岸です。波と岩とを重ね合わせて撮影できるよう、300ミリ相当の望遠レンズを持って撮影に挑みました。
朝日が昇り、波頭が逆光で輝く時間帯を選び、波飛沫が上がるタイミングを待ちました。波飛沫の動きが止まるように選んだシャッタースピードが1/640秒です。これが私の言う「時の選択」です。
ちなみに写真Bはさほど時を選ばず、誰もが簡単に撮れる展望台からの写真です。同じ題材でも時間選びと的確なシャッターの選択(「時の選択」)で写真の内容は大きく変わってきます。

写真A

写真B

波のスピードによっても変わりますが、波の動きを止めるなら1/500秒以上のシャッターを目安にしましょう(写真D・1/1000秒)。
1/90秒の写真Cは波がぶれてしまい、波頭の白い部分の形がわかりません。

写真C

写真D

高速シャッターを使うとどんな世界が広がっているのか。そんなことを頭に描き、1/3200秒で滝を狙った作品です。
目では簡単にとらえることができない水の粒が、舞い落ちている様子を撮ることができました。高速シャッターだからこそ、流れ落ちる滝の水の勢いが表現できました。

写真E

水が下に落ちていく滝は、波頭以上にスピードがあります。
シャッター速度1/250秒(写真F)では、水の流れは全く止まっていません。
一方、1/1000秒(写真G)では水の動きが止まり、目には見えない水の形が面白く表現されています。滝を止めて撮るときは、1/1000秒以上で切るようにしましょう。

写真F

写真G

高速シャッターであればあるほど、どのタイミングでシャッターを切るかがとても大切になってきます。同じ場所でも一瞬の動きの違いで、迫力が出たり出なかったりするからです。
タイミングを考えずにシャッターを切った写真Hに対し、写真Iは水の流れが迫り上がったタイミングでシャッターを切っています。タイミングとして「時の選択」が大切な理由がここにあります。

写真H

写真I

美しい風景の中を行く列車を美しく撮るには、シャッタースピードとシャッターを切るタイミングがとても大切です。
通常、列車を止めるには1/1000秒以上が必要です。また、この写真では、列車の先頭部分が田んぼの水面に写り込んだタイミングを狙ってシャッターを切っています。
(ただし、最近は行き先表示が電光表示になっている車両も多く、それを見せるには1/500秒以下のシャッターで動きを止めるテクニックが必要になります→またいずれ機会を見て解説します)

写真J


「時の選択」。この言葉をぜひ頭に思い浮かべて、よい瞬間をモノにしてください。
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。


1964年に新潮社から深田久弥著作の『日本百名山』が出版されて以来、「日本〇〇百選」がさまざまな分野で発表されています。
それらは自然保護を目的に、現環境省などの主導によって設定されたものが多いようです。
そのひとつに「日本の滝百選」があります。
これは1990年に環境庁と林野庁の後援によって、「森林浴の森100選」に続くグリーンキャンペーンの一環として企画されたものです。
日本全国から34万通を超える応募があり、その結果100の滝が選ばれました。
今回の越カメラマンのテーマは「時の芸術」です。
滝が一瞬だけ見せる最高のタイミングをとらえてみませんか?

●「日本の滝100選」 
写真ギャラリーもあり美しいサイトです。
http://takinoinryoku.com/taki100.html

●「日本の滝100選」
すべてではありませんが、詳細な解説がついています。
http://www.mori-taki-nagisa.jp/100/waterfall/
http://www.sakedekanpai.jp/contest/boshu.html

ある意味、大人向けのフォトコンテストです(笑)。
主催は「日本酒で乾杯推進会議」、後援は「日本酒造組合中央会」。
日本酒で乾杯している写真がテーマ。現代的でも伝統的な儀式でも、宴会でも、日本酒での乾杯がテーマになっていればOKです。
ただし、写真だけではなく、「乾杯シーン」についての200字程度のエピソードも必須。
仲間や家族と一緒の楽しいシーン、結婚式などの華やかなシーンなどを撮影して、応募してください。

応募期間:2013年7月10日(水)まで
賞品:日本酒好きにはたまらない賞品です。
  大賞:賞金5万円、副賞日本酒1年分(720ml瓶×120本)
  入賞:日本酒3カ月分(720ml瓶×30本)
  佳作:日本酒1カ月分(720ml瓶×10本)

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!
編集部が取材で出かけて撮影したたくさんの写真の中から、壁紙向きの写真をプレゼントします。お気に召されたら、壁紙などにお使いください。



日本の各地には「名旅館」と呼ばれるお宿があります。なかには温泉も評判のところがあって…。4~5月にかけて日本全国の名温泉旅館を取材しています。 心惹かれるところがたくさんある旅でした。
日本の古きよき時代を思わせる小さな光景が心を落ち着かせます
ある旅館では昔ながらの囲炉裏で遠来のお客様をもてなしていました
温泉が評判の旅館の湯船は、浴槽の底の石のあいだから湯が湧いています
源泉温度の低い温泉旅館では湯小屋の外に積まれた薪を使って加温していました
< 著者PROFILE >
構成と写真
篠遠行彦
東京都生まれ。雑誌編集長などを経てカメラ&ライターになる。かつてはパキスタンの日本総領事館に勤めていたという異色の経歴をもつ。
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