1. Smart Accessトップ
  2. おでかけマガジン(+バックナンバー)
  3. 海外でめぐるパワーを感じる聖地【海外・特別編】
「Smart Access」おでかけマガジン 毎月2回、「Smart Access」会員のみなさまへ、旬のドライブ&スポット情報をお届けします。
トップページへ戻る

年末年始をはじめとして海外に足を運ぶ人も多くなりました。ショッピングやグルメが第一の目的の人も大勢いるでしょう。しかし、せっかく海外を訪れたのなら、その土地でしか見られない、感じられない“人”のパワーが感じられる場所に行ってみたいものです。


ハワイのビーチでのんびり1日。わたしの旅はブランドめぐりよりロコ的な1日を過ごすのが目的です


建設当時はパリの景観を壊すとの非難もあったエッフェル塔はいまや街の景観創りに一役


ガウディの代表作であるサグラダ・ファミリアは未だに完成していません

旅の仕事をしているために、年に数回海外にでかけています。そして、でかけるたびに各国の民族性、食、風景に魅了され、海外がますます好きになっていきます。

いつしか仕事を離れ、友人を誘って旅にでかけるようになりました。

すると、友人にはふたつのタイプがいることに気づきました。

ひとつは、免税店やブランドショップ、最新グルメとガイドブックに掲示された“最新の流行もの”にしか興味がないタイプ。例えばハワイにこのタイプと旅に出たとしましょう。

着いたその日にワイキキを歩き免税店で下調べ。翌日はアラモアナでショッピング。その翌日はアウトレットやワイキキ界隈ブランド店をめぐり、話題のパンケーキを食べる。ビーチでのんびり過ごすという時間はありません。

もうひとつのタイプはショッピングにも興味があるけれど、それよりも土地の人たちの生活に密着したり、彼らが信仰の対象にしているもの、彼らが興味を抱くものに共感するタイプです。

このタイプと一緒にハワイを旅すると、レンタカーを借りてノースやウエストエリアのきれいなビーチで1日過ごしたり、ロコに教えてもらったレストランやカフェに足を運んだり(だって、ワイキキ地区のレストランはいわば六本木や銀座のレストランと同じ。超一流で値段もお高め。一方、ロコたちが愛用するレストランは地域密着型。ワイキキから少し離れた地域に、低料金でおいしいものを提供するレストランがたくさんあります!)、ときにはネーティブたちが信仰したパワースポットめぐりも。

わたしには後者の友人が合っています。そして、そんな友人がいるからブランドショップめぐりから解放され、地域に密着した旅を楽しみ、時間があれば遺跡や寺院、教会も訪れています。

地域の人に聞いて訪れた寺院などでは、ときとして計り知れないパワーを感じるケースがあります。海外の文化に育まれ、そこに生まれたその場所にしかないパワースポット。

海外を旅するときは、そんな場所を訪れるのもひとつの喜びです。


サグラダ・ファミリアには細かな彫刻もたくさんあります。これはイエス・キリストの生誕です


イタリアにも当時の人の力を感じる施設がたくさんあります。ピサの斜塔にて


マカオにはポルトガル文化が未だに息づいています

いままでに訪れた海外の都市や遺跡で、印象深いところがあります。

まずはパリです。多くの芸術家が暮らし、日本人だけでなく世界中の芸術家が憧れた街。

わたしもパリの街並みが大好きですが、それは至るところで芸術家たちをとりこにした風景が残っているからです。

印象派の画家たちが描いた教会、ポスターを得意とする画家が描いたキャバレー、音楽を愛した名士たちが通ったオペラ座…。

そのほかにもさまざまなところに画家たちが題材にした街の風景が残っています。そして、そこに芸術家たちが愛した街を創りあげた“人”のパワーが感じられます。

たとえば、1889年に完成したエッフェル塔は万国博覧会用に建設されていますが、「これから来る金属産業の独創的傑作を創ろう」という主旨のもと、万国博覧会を主催する人々の満場一致で建設が決まりました。

一部の芸術家、建築家は建築に反対したそうですが、エッフェル塔を目の前にすれば、そこには計り知れない“人の力”が感じられるのです。

ひとりの男の信念が感じられるのはバルセロナでしょう。この街にはアントニ・ガウディの建築物が点在しています。

未だ完成しないサグラダ・ファミリア教会が有名ですが、個人邸宅からアパート、公園といたるところでガウディの独創的な建造物を見ることができます。

この街では、ひとりの人間の底知れぬパワーが感じられます。

ヨーロッパから地中海を渡れば、当時の人間の恐ろしいまでのパワーを感じられるエジプトのピラミッドがあります。

わたしは20年余りの歳月を経て2回訪れていますが、最初のときは砂漠の道をピラミッドまで行った印象でした。しかし、2回目はピラミッドのすぐそばまで住宅が建っていました。

もしかしたら、これもまた人のパワーなのかもしれません。

中国の都市や香港、マカオなどを旅していても、それらの地に“自分たちの理想郷”を創ろうとした移住者たちの力を感じます。

たとえば、上海の外灘地区には西洋建築が並び、いまでもジャズバーなどが残ります。青島にはドイツ人の文化が残り、彼らが残した青島ビールは世界的な人気商品になりました。マカオにはポルトガル人の足跡が残ります。

歴史のある街には必ず人のパワーが感じられるスポットが残っています。


韓国・ソウルの中心街に近いところに山を借景に景福宮があります


光化門、興礼門なども復元されて朝鮮時代の姿に戻りつつあり、大勢の観光客が押し寄せています


王宮守門将交代儀式の模様。儀式を見るだけで、当時の様子が想像でき、そこに根付くパワーが感じられます

残暑の季節に韓国ソウルに行ってきました。

取材で行くときは、どうしてもお店中心になります。ソルロンタンの人気店、サムギョプサルが評判のお店、海鮮のお店などにアポを入れて、次から次とまわります。

どんなに時間がなくても、ひとくち食べないと味についての記事は書けません。終始満腹状態という女性にとってはあまりうれしくない状況を強いられます。

グルメの次は化粧品店やブランドショップ、おみやげ店、さらに南大門や東大門市場、韓国といえばのエステ店…。30分単位で取材スケジュールをこなしていきます。

ガイドブックはどんどんミクロになり、いわゆる観光名所よりも個性的なお店や人気グルメ店を大きく取り上げる方向にあります。

そのために、取材で訪れるときは名所にほとんど行かないのが実態です(名所は外観が変わらないので、毎回取材する必要がありません・裏話)。

そんなこともあって、今回のソウルの旅は、取材で見つけた絶品料理店を訪れ、そのほかの時間は韓流ドラマの舞台に何回もなっている北村や世界遺産の昌徳宮、明洞聖堂(教会です)、景福宮といった素通りばかりでガイドブックでしか知らない(笑)スポットに時間をかけました。

景福宮は朝鮮時代(1392年~)の正宮として王様の政務、生活の場でした。その後1592年に全焼、放置されていましたが1867年に再建、1895年には皇后殺人事件が起きて王様が居所を移しています。さらに、日本が総督府庁舎を敷地内に建てるなど、さまざまな時代を経ています。それでも正殿や楼閣などの主要な建築物は往時の姿を残します。

10時、13時、15時と通常3回行われる「王宮守門将交代儀式」に合わせて訪れると、周囲は観光客でいっぱいでした。聞き耳を立てると韓国人と中国人観光客が多いみたい。日本人観光客は明洞でショッピングでしょうか?

儀式は20分ほどですが朝鮮時代にタイムスリップしたような気分になりました。この場所にも、かつてここに生きた人たちのパワーが未だに宿っているようでした。



海外に足を運ぶときも、そこにしかない、その土地の人々、その土地に関わった人々が創り上げた文化に思いを馳せ、建造物からその当時の人々の暮らしぶりを想像してみる。

これもパワースポットめぐりではないでしょうか。


「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
  • スポット特集
  • B級グルメ特集
  • オートキャンプ特集
  • レジャー&リゾート特集
  • ロケ地特集
  • 絶景特集
  • 子供といっしょにお出かけ特集
  • 特産品・名産品特集
  • 温泉・スパ特集